世界各地で異常気象、森林火災が増加している。先年、フランスでは猛暑に見舞われ、コンフェデレーションカップに出場していたプレミアリーグのサッカー選手が暑さの中でのプレイが原因で、心臓麻痺で死亡した。この年、猛暑が原因で1万人以上のフランス国民が亡くなった。何故このような甚大な被害が出たのかが分析され、ヨーロッパ全体の異常熱波、バカンスによる医者の不在、ヨーロッパでは一般的にエアコンを設置していないこと、など様々な要因が重なり合っていたと考えられた。同じ影響があっても、備えがあるかないかでかなり被害の大きさも異なる。ヨーロッパでは近年、大規模な森林火災やドナウ川の大氾濫など、大きな災害が続いており、異常気象の問題を肌身で感じている。昨年公開された映画「THE
DAY AFTER TOMORROW」でも、理論に基づき、予想されうる破局的事例を表している。海洋大循環が止まり、グリーンランドの氷が解けるという現象がおきてしまえば、人間の力では戻すことができないカタストロフィとなる。気候変化による悪影響はここまで行き着く可能性があるということが議論されている。
全世界のCO2排出量の国別内訳を見れば、誰が削減しなくてはいけないのかということがわかる。200近い国の中で、上位から15カ国とEU25カ国を合わせて40カ国で世界の排出量の84%を占めている。また、最後の1%弱に90カ国が固まっている。これがいわゆる後発開発途上国(LDC:Least
Developed Countries)や島嶼国(とうしょこく)である。しかし、前述したように、このような国々は、温室効果ガスをほんのわずかしか出していないのに、結果的に脆弱なシステムのために温暖化の被害を甚大に被ることになる。温室効果ガスの削減は、大量に排出しているところが減らさなくては効果が現れないので、84%を占める上位の40カ国が対策に参加していかなくてはいけない。この40カ国には、中国、インドだけでなく、サウジアラビアや南アフリカ、ブラジル、イランも含まれ、それぞれに多様な事情を抱えている。イギリスでは、温暖化対策の議論にブラジル、インド、中国、南アフリカなどの途上国も招いて議論をした。これらの国々は安全保障理事会の常任理事国か、その候補でもあり、そういう国が温暖化対策にもしっかり取り組むべきだという意思を、その顔ぶれから感じた。国際的な合意を得ていくためには、様々な観点からのアプローチがより必要となる。
今後、途上国からの排出量は増加し、先進国を上回ると予想されている。このことからも、先進国がまず削減を実現する必要があるが、気候変力による甚大な被害を避けるためには、先進国、途上国を問わず大量排出国が大幅な削減に取り組まなければならないと考える。条約の時にも議論されたが、現在の温室効果ガスの蓄積というのは産業革命以来のもので、先進国が排出してきたものだとか、地理的に途上国から出ているものも先進国の利益のために収奪した結果だと主張している国もある。このような責任に関する議論はいまだタブーとなっているが、実際に経済発展と温室効果ガスの削減を両立させる能力は先進国にあるので、まず先進国が先行して実施し、そのやり方を提示するべきだ。それが第一歩としての京都議定書の役割だ。また、インドや中国などの人口の大きな大国は、人口一人当たりの排出量を同じにするというのが究極的な公平さだと主張している。各国のCO2排出量の総量を人口一人当たりで表せば、インドの排出量はかなり少ないことになる。しかし、気候変力の影響は排出された温室効果ガスの量、大気中に蓄積された温室効果ガスの濃度による。先進国から排出された温室効果ガスも途上国から排出された温室効果ガスもその効果に違いがあるわけではない。よって、京都議定書以降の国際的な取り組み温室効果ガスもその効果に違いがあるわけではない。よって、京都議定書以降の国際的取り組みではインドや中国も削減に取り組まなければならないが、このように各国の事情、主張が入り混じり、国際的合意を得るのは容易ではない。